4、エンドオブライフ

定義

病いや老いなどにより、人 が人生を終えると感じ始めている時期

情報

  1. 医師による客観的な情報を基に治療により回復が期待できないという判断
  2. 患者・家族・医療関係者による死の納得(本人が判断力がない場合は除く)
  3. 関係者の死の予測(予期的悲嘆)と対応
  4. 全身状態の悪化:意識混濁、せん妄、食事や水分摂取困難、嘔吐・吐血・下血・多量排便・四肢冷感・発熱・尿量減少・呼吸の不規則さや下顎呼吸・チアノーゼ
  5. 無力感、悲しみ、死の過程への怖れ、重要他者への影響の心配、等
  6. 死を迎える準備をしようとしている

Outcome

理解・関心

  1. これから起こり得ることのイメージが乏しい(本人が意識不明な場合は介護者)
  2. これから起こり得ることを少しイメージされている(本人が意識不明な場合は介護者)
  3. これから起こり得ることについておおよそイメージされている(本人が意識不明な場合は介護者)
  4. これから起こり得ることについてかなり受け入れていらっしゃる(本人が意識不明な場合は介護者)
  5. これから起こり得ることを受け入れていらっしゃる(本人が意識不明な場合は介護者)

行動

  1. 心理的・身体的安楽さを自ら求めてこられない(本人に意識がない場合は介護者が)
  2. 心理的・身体的安楽さを自ら求めることがたまにある(本人に意識がない場合は介護者が)
  3. 心理的・身体的安楽さを自ら求めることがときどきある(本人に意識がない場合は介護者が)
  4. 心理的・身体的安楽さを自ら求めることがほぼできていらっしゃる(本人に意識がない場合は介護者が)
  5. 心理的・身体的安楽さを自らいつでも求めることをなさる(本人に意識がない場合は介護者が)

介入

観察

  1. あらゆる苦痛がないか
    • 身体的苦痛:痛み、身体機能の障害(意識混濁、呼吸困難、不整脈、血圧変動、便秘、下痢、嘔気、嘔吐、尿量減少、血尿、排尿時痛、褥瘡、浮腫、四肢冷感、チアノーゼ、等)
    • 精神・心理的苦痛:不安、恐怖、怒り、抑うつ、いらだち等
    • 社会的苦痛:仕事上の問題、家庭内の問題、人間関係、金銭問題
    • スピリチュアルペイン:存在感の喪失、孤独感、自律性の喪失、価値観の変化
  2. 本人が大切にしていることは何か(以下6までACPの実施)
  3. 本人が信頼できる人は誰か
  4. 信頼できる人や医療・ケアチームと話し合えているか
  5. 話し合いの結果を大切な人たちに伝えて共有できているか
  6. 何度でも繰り返し話し合えているか
  7. Living Willの有無の確認
  8. 病態による経過の違いを踏まえた観察:がん・臓器不全・認知症・老衰

ケアと治療処置

  1. これから最善を生ききることを支えさせていただきます:観察2~6の実現、要望の聴取、意思決定の尊重、尊厳の擁護、安らぎ、自信、快適さ
  2. 痛みへのケアをします:鎮痛剤、傾聴、体位、罨法、マッサージ
  3. 身体に負担のかからない清潔ケアをします:清拭、シャワー浴や入浴、臥床したままでの洗髪、口腔ケア
  4. 身だしなみを整えます:髪を整える、ひげそり、要望による化粧やマニュキュア
  5. 下痢の苦痛を軽減するケアをします:体を暖かくする、こまめにあったかい水分(経口補水液)を摂る、刺激物や食物繊維を避けた温かい食事
  6. 下痢がとまらない場合のケアをします:おむつや生理用ナプキンの使用、でん部のこまめな清拭と保湿
  7. 便秘時のケアをします:起床時の冷たい水や牛乳の摂取、朝食後のマッサージ、摘便、浣腸
  8. 褥瘡対策をします:体位変換、エアーマットの使用
  9. 浮腫の軽減をします:むくみや冷え部位のオイルを使用したマッサージ、手浴、足浴、リンパドレナージ、軽くて暖かい掛け布団、締め付けない服
  10. 経管栄養や胃瘻造設をしないような選択を助けます:話すことができれば経口摂取可能、下腿浮腫がない場合は皮下点滴や経口摂取・ONS使用
  11. 小さな氷のかけらの摂取で安楽にします:ご家族が砕き差し上げられるようにします、好きな味の氷でもよいでしょう
  12. 介護者の方々の苦痛への配慮をいたします:疲れ、不眠、肩こり、腰痛、頭痛等、不安や悲嘆、社会的役割代行状況
  13. 大切な人を喪失するご家族や友人の方へのケアをします:予期悲嘆を妨げない、可能であればケアへの参加、グリーフカード、遺族外来等の紹介
  14. 医師とがん末期の場合のステロイド剤使用の検討をします
  15. お亡くなりになったときの尊厳を大切にしたケアをします:死者の保清と整容
  16. お亡くなりになったときのご家族のケアをいたします:死者の尊厳ケアへの参加の促し、家族の時間の保証、罪悪感の軽減ケア、グリーフケア、死亡時の手続き支援

教育

  1. 本人が意思決定できるよう支援いたします(本人の意識が不明な場合は介護者による推定意思)
  2. これから起こり得ることの分かりやすい説明、選択肢の提示をします。必要時パンフレットを使用します(本人・家族別々の説明がよいことも)
  3. 決定を下したあともいつでも変更可能であることを共有させていただきます
  4. 死に至る過程(死線呼吸、食欲不振、悪心、衰弱、四肢の循環低下、尿量減少、亡くなる前の意識・呼吸・血圧低下・手足の冷え・せん妄等)をお伝えします
  5. お話しを伺うことで人生の意味づけを助けさせていただきます
  6. 大切な人を失う悲しみなどご家族のお気持ちに寄り添います
  7. ご本人やご家族の葛藤があれば口頭や書面で表現し連絡がとれるよう援助いたします
  8. 亡くなった時の対応をあらかじめお伝えします:呼吸停止時の見守りと時間記録、脈の確認、医療者への連絡・あとで気づいた時の医療者への連絡
  9. 意識があるうちに本人が会いたい人との連絡ができるよう支援します
  10. 旅立つときに着る服の準備のお手伝いをします
  11. 救急搬送が必要ないことをご説明します

調整

  1. チーム(本人・家族が中心)での方向性の共有:人生会議(ACP)の予後1年を目安としての調整
  2. 倫理的ジレンマがある場合のJonsenの4分割表での事例検討
  3. 本人・家族が希望する看取りの場の調整
  4. サービス間調整
  5. 葬儀形式等死後の手続き(自治体によっては行政対応あり)
  6. 死後の経済的処理
  7. 臓器提供の意思表示に応じた対応:意思表示の確認、各臓器、献脳(ブレインバンク)や在宅剖検(自治体の状況を調査の上)
  8. 相続問題

課題名の例

  • 今後これからの過ごし方の準備が必要である
  • これからの過ごし方の準備ができつつある
  • 身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな苦痛がある

その他

参考