17、認知・記憶機能

定義

注意、見当識、認知など情報を記憶・処理し活用する能力

情報

  1. 記憶障害:短期記憶(記銘力と作業記憶)、感情が伴う記憶や想起記憶は残りやすい
  2. 見当識障害:時間(日付、時刻、季節等)・場所(自分がどこにいるのか?)・人(自分の周囲にいる人)
  3. 生活障害:IADL、ADL
  4. 理解・判断力低下
  5. 病識の障害
  6. コミュニケーション状態
  7. 注意障害
  8. FAST/MMSE
  9. 生活リズム(食事・排泄・睡眠)、精神状態
  10. 食事摂取状態(誤嚥の可能性)、脱水の有無
  11. 失禁
  12. 歩行状態、転倒歴、外傷やあざ
  13. 精神状態:不安・焦燥感・イライラ・興奮・幻覚
  14. 服薬状態
  15. 見守りの必要性

Outcome

理解・関心

  1. 認知機能の病状や治療、症状軽減方法について関心が示されない
  2. 認知機能の病状や治療、症状軽減方法について関心を示す
  3. 認知機能の病識があるが、治療や症状軽減方法の選択肢はまだ理解されていない
  4. 認知機能の病識があり治療が分かるが、症状軽減方法の選択肢はあまり理解されていない
  5. 認知機能の病状や治療、症状軽減方法などの対処方法を理解されている

行動

  1. 日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通困難がみられ常に介護を要する
  2. 夜間を中心として日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さがみられる
  3. 日中を中心として日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さがみられる
  4. 道に迷う、買い物や事務、金銭や服薬管理等が多少みられるが誰かが注意していれば自立できる
  5. 何らかの認知症を有するが日常生活は家庭内、社会的にほぼ自立している

介入

観察

  1. 自分の症状や生活行動に対する思いやお考えを伺います
  2. 見当識:時間→場所→人
  3. 記憶:短期記憶(記銘力と作業記憶)、感情が残る記憶や想起力
  4. 病識の障害:アルツハイマー病では特に低下する
  5. 生活障害:IADL、BADL、生活リズム(睡眠状態)
  6. 心理症状:混乱や怒り、幻覚、誤認、不安
  7. 行動症状:徘徊、多動、不潔行為、収集癖、暴言暴力、介護への抵抗
  8. 精神症状:うつ(1か月で気分が憂鬱になることがあったか?、興味がわかない楽しめない感じがあったか?)
  9. 服薬状況(家族等支援状況)
  10. 薬物の副作用、甲状腺機能低下、ビタミン欠乏症、正常圧水頭症(認知症・歩行障害・尿失禁)、せん妄(あれば改善可能な障害)
  11. 食事・水分摂取状態(誤嚥傾向はないか)
  12. FAST・MMSE
  13. 体重増減はないか
  14. 皮膚の状態
  15. バイタルサインズ
  16. 歩行状態、外傷やあざの有無
  17. 療養環境(手すりや床の滑り、段差)、移動補助具(杖や歩行器)使用の有無
  18. 衣服や靴の適切さ
  19. 介護者のかかわり方

ケアと治療処置

  1. 日付がわかる時計やカレンダーへの書き込みや薬の貼り付け等の利用をお手伝いします
  2. 眼を合わせ、話しかけ、驚かせないように触れ、立つを促すその人らしさを尊重する関わりをします
  3. 短期記憶を求めないように注意します
  4. 声掛けを頻繁にさせていただきます
  5. 過去の記憶を大切にした関わりをします
  6. 傾聴と受容につとめます
  7. 整容や更衣、入浴や家事など、一つひとつ何をしているのか説明し手順を説明しながら納得して実施していただくようにします
  8. できることはなるべくご自分で実施していただくようにします
  9. 徘徊がある場合は、徘徊をとめず、外出の理由を伺い、必要時見守りネットワーク等を利用して安全を守ります
  10. 服薬管理支援をします(訪問時の支援、家族もしくはヘルパーとの協働、服薬カレンダー、通院日確認)
  11. 排便排尿リズムを把握しトイレ誘導する、やポータブルトイレを設置してなるべく自然に排泄できるようにします
  12. 混乱状態があるときは、言葉で表現するのが苦手な人のチャレンジング行動として苦痛を査定し軽減するようにします

教育

  1. 病状と治療や予測され得る状態の説明(家族へのBPSD対応についての教育)
  2. 適応があれば抗認知症薬服用方法
  3. 社会参加・役割行動の促し:会話、運動
  4. 予防教育:バランスのよい食事、規則正しい生活、飲酒は週にグラスワイン4杯まで、禁煙指導、難聴改善、歯周病改善
  5. 意思決定支援

調整

  1. 認知症になっても自立できるような環境調整
  2. サービス間調整:連絡ノート
  3. デイケア、レスパイト、看多機利用
  4. 配食サービス
  5. ピアサポートグループ、サポートシステム利用
  6. 移動手段利用
  7. 早期の段階での本人の意思決定支援
  8. 財産管理
  9. 家族会の紹介

参考

認知症ガイドライン

課題名の例

  • 認知症悪化のリスク
  • BPSD(行動・心理症状)リスク状態
  • 生活リズムの障害
  • 嚥下障害・脱水のリスク
  • 転倒や外傷のリスク
  • 失禁
  • 認知症悪化が予防できている
  • 認知症とともに生活ができている